たぬきのちらうら

適当に、好きなことを書く。おもにシャニマス

野々原茜ちゃんが主人公の百合小説を読んだよ!【三浦しをん著:ののはな通信】

「横浜で、ミッション系のお嬢様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。
庶民的な家で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、
外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。
二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士になる。」

ーーー帯より抜粋


こんなあらすじから始まるのは、三浦しをんの最新作。ののはな通信





ところでこちらは、アイドルマスターミリオンライブの野々原茜ちゃん(かわいい)




「あかねちゃんが出てる小説だよ!?買うしかないよね!?」
とそそのかされ、ほぼジャケ買いした次第。
ですが、読み終わってから2か月近く経つ今でも、
この作品の結末に心が引っ張られる。
ふとあるごとに思い出して、深くため息をついてしまう。
そんな、とてもとても印象深い作品でした。

ネタバレのない程度に書いていきます。

三浦しをんさんといえば、言わずと知れた人気作家。
本屋大賞を受賞した「舟を編む」を代表に、
映画化された「神去なあなあ日常」など、
面白い作品、特にエンターテイメント性の強い作品を多く書いてらっしゃいます。
上記2作品は男性主人公で、
出てくる女性がいかにも男の理想という感じで、
「作者は本当は男なのでは!?」
と思わせるくらいの都合のいい女性っぷりに少しだけ辟易したりもしますが、
それは置いといて今回の作品の女性ふたり、ののとはなはすごい。
デビュー作の「格闘するものに〇」なんかで書いた、
自身をもとにした女性ともまた違う。
女性同士の恋愛を、とてもとても丁寧に切り抜いた作品です。
エッセイとか読んでて感じる三浦しをんの感性に近いものを感じました。

最初の舞台は1980年代の女子高。
山岸涼子の「日出処の天子」の最終回を迎え、
その感想のやりとりから、本作品は始まる。
(そこがまたエモいのですが)
お互い、手紙を通して心の底を打ち明けられる親友となり、
いつしか友愛以上の感情を抱くようになっていく。
お互いの気持ちが愛だと自覚した二人は、
不器用ながらも周囲とは違う恋愛の道を進んでいく。
このあたりの蜜月期のやり取りは本当に見ていてニヤニヤします。
この二人が、このまま困難を乗り越えて幸せになっていく。
そんな未来に思いを馳せたくなるくらい。

ですが、一つの出来事から二人の道は一度分かれることに。
その後も、途切れながら手紙は続き、
作中で30年後、2010年まで続きます。

百合を描いた作品は世の中にたくさんありますが、
書簡形式という書き方と、30年という年月が、
この二人の関係と心情をすごく丁寧に見せてくれます。
尊いという言葉では足りない、
読んでいるこちらの気持ちまで揺さぶられるような作品です。

いまだにたぬきは、
この作品の結末を思い出しては、胸を締め付けられています。